サブスク音楽配信のお話
以前僕はCDショップで働いていた。
そうした環境で働いているとどうしても「音楽はCDで聴くもの」という考えが強くなってしまっていた。
要するに「配信とかじゃ形に残らなくて聴いてる気がしないじゃん」っていう考えである。
今思うとね、愚かだったなぁ。
確かに形に残っていた方が手に入れたという充足感は得られるし、たくさんのCDをラックに並べていれば自分はこれだけ音楽が好きなんだぜっていうアピールにもなる。(そんなことのためにCDを買い続けている人もいないと思うけど。)
それでも時代は進むもので、今ではApple以外にも様々な会社がデジタルリリースの媒体を作っている。サブスクリプションサービスもだ。
僕も実は今Apple Musicを多用している。CDショップ勤務の頃の僕からしたら、音楽を心から楽しんでいないと自分勝手な意見をぶつける対象だ。
じゃあなんで今はそういうサービスを使っているのかと聞かれたら答えはただ一つ。
便利だから。
いや、本当これに尽きる。曲がリリースされたらメーカーにもよるけどほぼCDの発売日に配信が開始されるし、月1000円近い料金さえ払えば、いつだって好きな時に気になる曲を検索して聴くことができる。感覚的には渋谷とかにある大型のCDショップが常に目の前にあるようなものだ。
気になった音楽を気軽に聴く。これって、どんなパターンよりも心から音楽を楽しめる手法じゃん。って今は思う。
テレビとかで気になる曲に出会っても、その場でメモをとったりショップに走らない限り、大体そういうのってすぐに忘れてしまうものだと思う。でもサブスクサービスは、そうした気になる存在をより身近なものにしてくれている。
この魅力が最も発揮されるのは、やはりフェスだと思う。
フェスは、好きなアーティストが出演するから注目するという人も多いが、「どうせ行くなら他にどんな人達が出るのか予習しておこう」だったり、実際にフェスに行って「このバンド良かったな」という感じで気になるアーティストが一気に増える場所でもある。
そうしたアーティストを全て片っ端からCDを借りたり買ったりしてチェックしていたら、出費もかさむ。それを理由に気になっても深堀りするのを諦めてしまうこともあるかもしれない。
でも、サブスクはそれがない!
フェスが終わるのを待たずに、休憩中とかにちょちょいと検索してすぐに聴けることができるのだ。これほど便利なことってあります?しかもお金は定額制。
今僕がApple Musicを利用しているのも、こうした便利さが一番の理由です。
そりゃもちろん、アーティストとしては歌詞カードもクレジットもじっくり読んで堪能してほしいと思うかもしれない。それが真のコアなファンの在り方かもしれない。
でも、それでは伸びるアーティストも伸びないというのが今の僕の考え方。
世に名前が広まっていないだけで、万人受けしたり心を掴む才能を持ったアーティストはごまんといる。しかしそのどれもが隠れたまま。
そうしたアーティスト達に対して、サブスクサービスはスポットライトを当てるきっかけになると思っている。
いや、本当にね。音楽はCDを手に入れてなんぼでしょ!という、語弊を招くことを覚悟で言うならちょっと堅い考えを持っている人にもぜひ試してほしい。今ならどのサービスも最初は何か月無料とかやっていると思うので。
意外とそういう人の方がサブスクの利点を上手く生かしてより音楽を楽しむことができるのではないかと思ってます。